路上の発見は偶然だった。 YouTubeの発見は、意図か配給である。
画面の中には、最初から数字がある。
1. 偶然の性質が変わる
路上:通りがかりの偶然(Accidental) YouTube:検索の意図(Intentional)か、レコメンドの配給(Algorithmic)
「通りがかり」という最強のN(物語)が消える。 代わりに、アルゴリズムが配る。
2. 数字という神:指標の転換
2012年、YouTubeはランキング/検索の重み付けを「クリック」から「エンゲージメント(視聴維持)」へ寄せた。
「おすすめ」の最適化(2012年8月10日)と「検索」ランキングの最適化(2012年10月12日)が相次いで公式発表された。
参考:YouTube公式ブログ(blog.youtube, 2012/8/10, 2012/10/12)
結果、動画は「見られた」より「見続けられた」が正義になる。 S(コンテンツ)が剥き出しで裁かれる。
3. 全球接続と足元喪失
商圏は半径数メートルから、世界へ拡大した。 しかし、路上の対価装置(手売りCD)は局所に置き去りだ。
YouTube Partner Program(YPP)は2007年に開始し、収益分配を制度化した(地域により実装時期の差はあるが、枠組みはこの時期に立つ)。
参考:YouTube公式(W27)
発見は増える。 評価も可視化される。 だが、Cashへの導線は薄い。
市場データでは、日本での音楽発見にYouTubeが大きい比率を持つという整理もある。
参考:市場概観(W25)
4. SNEの不整合(Misalignment)が深くなる
- S(動画)はある
- N(認知)はプラットフォームが決める
- E(期待)は数字が作る
- Cash(対価)は別回路でしか落ちない
この不整合が、「有名なのに貧しい」への助走になる。
5. 反証:ストリーミングは成長している
ストリーミング比率の成長や市場の拡大は観測される。
参考:市場概観(W25)
ただし、成長は「中間層の生活」を自動的には保証しない。 次章では、評価装置がさらに断片化する。